2021.12.8

null vol.7 @星星峡+オンライン 開催レポート

開催レポート

null@星星峡
10/15(金)~11/14(日)
参加者数 約60名(期間中のポストカード記載+インスタグラム投稿含め)

null@オンライン
11/15(月) 19:30~21:30
参加人数 11名

テーマ:「縁起にまつわるモノ」


第7回のnull -自由な場所とアートなこと- を開催しました。

開催にあたり、このニューノーマル時代の中、物理的な接触を避けたオンラインでの仕組みが果たしてnullのコンセプトに合った開催なのかどうかを運営メンバーで模索してきました。nullは「場所、人との緩いつながり、余白を大事にしたい」。オンラインでイベントを行うと余白が少なくなりがちで、思いもよらない雑談があちこちで始まることはほぼありません。今までのオフラインでのnullは、持ち寄ったものを手にとってワイワイがやがやと雑談が始まり、元々知り合いでも興味の根っこがこんなところにあったのかと思うことが多々ありました。人の多面性を知ることは面白いです。そこからのつながりも派生があり、増殖していくといつのまにか多様なネットワークができています。
nullの面白みは単純な参加だけではなく、そこで人や物に興味を持つことだと思います。そういうネットワークから自然に自分達らしい表現がでてくることを楽しみに活動しています。

そんなイベントを行うためには「場所」と「時間」をずらした“非同期”の仕組みであれば形にできるのではないかと考え、一度に集合するのではなく、期間を長く、持ち寄りを共有でき、オンラインでもつながるというイベントを試みました。
第7回の企画テーマは「縁起にまつわるモノ」
企画者はパティシエの加藤薫さんウェブサイト)です。毎年11月に酉の市で購入できる熊手をデコレーションする展示を仲間と企画し開催しています。その経験から地方や家庭や国によってどんな縁起モノや行事があるのか?という疑問を抱き本企画がうまれたのですが、パティシエがアートの視点で企画者になれるのが、誰でも企画ができるnullらしさです。
熊手とスイーツ全く関係ないですね。
でも、それがいい。加藤さんのひとつの面を勝手に興味持ってのぞき込んでみるのが面白いです。最終的には縁起モノに興味をもつことはパティシエの表現として根っこで繋がっているんだと思います。null vol.4でアーティスト高嶋英男さんが「穴」をテーマに企画してくださった時にも作品づくりの際にみている風景が感じられ、何だか根っこに触れた気がしたことを思い出しました。

話は変わって、オフラインの開催場所は縁起モノのフクロウが出迎えるカフェ「星星峡」。1ヶ月間ご協力いただきました。これには本当に感謝です。
店内に準備したポストカードに「縁起にまつわるモノ」を記載していただき、フォルダーにまとめシェアすることで人とのつながりをつくりました。
開催期間中たくさんの方々のエピソードが集まりました。ポストカードに書くことで、誰かに届ける物語として書き込んでくださったことが思いがけないことで、その内容も印象に残るものばかりでした。他県からの来訪者が本イベントに参加してくださったこともまた嬉しい出来事です。
文字やペン、色、イラストから受けとるアナログな情報は、今までとは違う感覚がありました。
エモい。
これか、若い人はデジタルを通過し、改めてアナログの温かみを感じた時の感覚を指して言ってたんですね。
ポストカードというフォーマットを再発見し、今度はそれをラジオというメディアを通して再構築したいと考えていますのでお楽しみに。

期間中にインスタグラムも利用した持ち寄りも実施しました。
数は多くないですがフォローしてくれる人もあり持ち寄りを共有することができました。今後はもう少しインスタグラムを活用して広げていくのも良いかと思いました。

オンラインでは前回同様Zoomで集まって開催しました。
縁起を持ち寄る、というと、縁起担ぎなどはしていないし思いつかないという風に考えがちですが、話が進むと参加者皆さんの身近に存在していたり、頻繁に縁起を担いでいたりしていることに気づきだしていました。
文様や動物にも縁起モノがあり、風水による吉方位から、棟上げの地鎮祭を行う際の六曜の吉日、神社・仏閣、信仰の類まで多岐にわたります。縁起は、人々に密接に関わり、近くにありすぎて文化や風習、生活の一部になっていることがわかりました。
仕事で縁起に関わっていたり、ライフステージの節目に出あったり、参加者の生活や出来事が縁起モノから垣間見られることが印象的でした。
縁起モノは、人が生み出す造形やデザインなどにも大きな影響があることも感じ、開催後にも縁起を意識した見方をしています。

テーマ企画者の加藤さんからは次のような感想をいただきました。

「私にとっての縁起物って熊手なんだけど、みんなにとっての縁起モノ、コトってなんだろう?そんな興味から企画させていただいた今回のテーマ。

コロナ禍で2回目となるnullの開催となり、運営の方からの『非同期開催』との提案に想像がつきませんでしたが、場所とオンラインと共通のテーマでゆるく繋がるを体感できたイベントでした。

場所を提供してくださった星星峡さんにご協力いただき、1ヶ月の期間中ポストカードに書いてもらった縁起にまつわるモノのエピソードは多くの方に参加していただき直接お会いした事はなくてもそこから垣間見えるお人柄を想像したり、素敵なイラスト、緑が添えてあったりと個性豊かな物も拝見できたりとポストカードに残された興味深い縁起モノ、コト、是非みなさんにもみていただける機会があるといいなと。

Zoomを使ってのオンライン開催もZoomに対しての苦手意識から不安に思っていましたが、運営の方の工夫がされていて話すグループ、聞くグループをミュート、ビデオオン、オフをしっかり使い分けての設定だったので発言しやすく、聞きやすかったので、参加してくださった方のお話しに集中できました。
いつものnullより盛りだくさんのように感じましたが運営の方々や星星峡さん、メインビジュアルを担当して下さった彫刻家の馬塲さん、参加してくださった方々のご協力で貴重な体験をさせていただく事ができました。ありがとございます!
これからのnullも楽しみにしています!」

また、場所のご協力いただいた星星峡の舩橋さんからも感想をいただきました。

「スマホの中に自分の世界がある時代において、ひとつの場所に用意されたテーマと参加方法で、みんながペンをとりカードに書き込み楽しんでいる姿はとても微笑ましいものでした。決められたスペースの中に自分の縁起物をカードに書いて投函していく。それはまるでハガキをラジオ番組や雑誌宛に投稿しているかのようです。現在ではTwitterやMailで簡単に投稿や応募ができてしまいますが、昭和生まれだからでしょうか。非常に懐かしさを感じました(笑)

そしてテーマの縁起物。自身で縁起物として認識している物はあまりなかったつもりだったのですが、オンライン参加時に皆さんの話を聞いていると、あれもこれも潜在的に縁起物として扱っていたかも、と思う物が多くあり、自身の発見となりました。

コロナ禍での開催とあって、感染拡大防止対策上オフラインとオンラインというイベントになりましたが、非常に面白い形でのイベントになったと思います。今回約一ヶ月に渡るオフラインイベントの場として提供させていただき、スタッフ一同お客様と一緒に楽しませていただきました。ありがとうございました。」

星星峡に飾られたvol.7のnullイメージビジュアルもご紹介します。
制作は、彫刻家 馬塲稔郎さんウェブサイト)。

馬塲:「タイトル「影と光」自ら光を放つ時もあれば、周りの環境によって照らされることもある。自分と周りの環境との影響。太陽と月のような関係。自分が作家なので、自分の状況を考えて制作していたが、どのような職業・立場の人にも当てはまる事だろうと想像します。」

いつもは彫刻作品で活躍している馬塲さんですが、ポスターという2次元の表現で新しい面を感じていただければと思います。ちなみに馬塲さんの動物イラストや版画も素晴らしいのでどこかでまとめて見られたらなと思ってます、個人的に。

今までのイメージビジュアルを展示したいなど、ご興味あるお店やギャラリーの方がいれば是非お声がけください。

運営スタッフより

オンラインとオフラインの開催。非同期という形を選択し、期間を長く開催したことでじんわりと繋がりが広がった気がします。
また、今回はポストカードという持ち寄りがとても良かったと思います。遠方からの来訪者やインスタからのDMでこの企画に参加してくださったことも嬉しい。
本当はポストカードをレポートとしてネットで全公開したいのですが、それにはやはりエモさが薄まってしまう抵抗感を感じていて、別の形に転換して伝えることを考えていますが、できることなら直に読んでもらいたいです。
縁起モノを通して皆さんの関心ごとや生活が透けて見えた気がして面白い発見になりました。

開催情報

◎null@星星峡
場所:星星峡(ウェブサイト
日時: 2021年10月15日(金)~2021年11月14日(日)11:30~19:00
テーマ「縁起にまつわるモノ」

◎null@オンライン
2021年11月15日(月)19:30〜21:30
場所:オンライン(Zoom)
参加人数:11名
テーマ:「縁起にまつわるモノ」