2019.10.30

null vol.3 @artist-run-space merdre メルドル 開催レポート

開催レポート

第3回のnull -自由な場所とアートなこと- を開催しました。

今回の場所は府中本町駅近くの「artist-run-space merdre メルドル」で行いました。アーティストが運営するアートスペースで、2011年のオープンからノイズ・エクスペリメンタル系の音楽イベントや現代美術から手芸クラフト系、はたまた政治座談会まで、幅広く活動してきた隠れ家的古民家ギャラリー。
テーマは、メルドルというギャラリー名から連想し「毒気を感じるけど面白いモノ」を持ち寄ります。
今回は夜の時間ということで、今までとは違う層の人や雰囲気を想定しお酒と美味しいご飯をご用意しての開催となりました。

「毒気を感じるけど面白いもの」という難題テーマでどのようなものを持ち寄りいただけるのかと若干心配をしましたが、皆さんの趣味・嗜好が作品を通して強く出ていました。
おどろおどろしい映画や版画、海外に見るドキッとするアート作品、街の中に馴染む毒気のある遊具、アバンギャルドな演劇、製品から見る経済社会の毒気、業界的にアンタッチャブルな毒の気配…。ディストピア作品と自伝的ノンフィクション作品から、現実世界のほうが毒があるなど様々な見方がありました。子どもは毒気がある作品好きだというところも面白かったです。

そして、毒気がある作品を通じて世の中の疑問や不満など社会を見つめるきっかけになると思いました。

vol.3のnullイメージビジュアルの制作はgrandjeteという屋号で活動する小川優紀さん。ちょっとした毒気にハッとしつつもくすっと笑えるウイットに富んだ小物作品を生み出すコラージュ作家です。

小川:「個性豊かな異素材をコラージュしたような皆様と“ぬるぬるこねくと”することによってnullという今はまだ漠然としたアート作品を作り上げていくイメージコラージュです。
今回のテーマが「毒気もあるけど面白いもの」ということで、自分の作品“珍”なものをスパイスとしてコラージュに加え、アートを介して創造欲求を膨らませることができる伸びやかで居心地の良い場所を表現してみました。」

短期間でのお願いにもかかわらず完成度の高いビジュアル表現。ありがとうございました!

ごはんとお酒の用意はメルドルのオーナー 芝辻ペラン詩子さん。カフェを併設するギャラリー&アーティスト ラン スペースなので、オリジナルメニューも美味しく充実しています。お酒も入り、盛り上がる楽しい会になりました。準備含め会場をご提供いただきありがとうございました。

実は今回の企画テーマは芝辻ペラン詩子さんにご協力いただき開催しています。

芝辻:「メルドルという名前の由来は、19世期フランスの戯曲作家、アルフレッド・ジャリが作った検閲逃れのための造語です。その“メルドル”の場で、あいちトリエンナーレの件について考え、意見交換したいという裏テーマが私の中でありました。
毒気のある作品だけでなく、裏テーマを知って検閲絡みの作品を持ってきてくれたり、毒のある作品を描く漫画家とのエピソードなどなどで盛り上がりました。のんびりくつろぎながらご飯をたべて、飲んでと、検閲逃れのための名を持つ場がみんなにとって心地よい空間になりました。」

運営スタッフより

今回のテーマ「毒気を感じるけど面白いもの」は、前回のnullの最後に時間を取り、参加者の皆さんと話し合い決めたものです。芝辻さんの問題意識から、会場のメルドルの持つ意味や雰囲気を鑑みて話し合い、ピッタリとくるテーマになりました。nullの目指す自治と開かれた場が、一つ進んだと感じています。

開催情報

場所:artist-run-space merdre メルドル
日時:2019年10月30日(水)18:30-21:00
参加人数:17名(スタッフ含む)
テーマ:毒気を感じるけど面白いモノ