2022.12.13

まなばぁーと 2022年度ヒアリング先

まなばーと アートポイント計画団体交流会
NPO法人 アートフル・アクション(AFA)

2022年7月24日 @府中

[交流のきっかけ]

ACFによる「ラッコルタ -創造素材ラボ-」の活動に興味を示してくださったNPO法人 アートフル・アクション(AFA)さん。ラッコルタの仕組みづくりについて詳しく聞きたいという打診を受けて、ACFからもアートポイント計画の大先輩でもあるアートフル・アクションの活動についてもぜひ教えてほしいと返答して実現した交流会です。

アートフル・アクションから3名をお迎えしたところ、ACFからは是非話を聞きたいという9名が集まり、総勢12名での交流会となりました。

[自己紹介]

まずは各々の活動紹介から開始。紹介が終わるころには、自然と互いの活動について質問や情報が飛び交い、互いの悩みについて話し合う深い対話が続き、今後の連携が期待できる時間となりました。

NPO法人アートフル・アクションは小金井市の芸術文化振興計画推進事業の実施に対して、東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団との共催が始まり現在は東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団、AFAとの共催により、多摩地域でアートの可能性を追求しています。

[アートフル・アクションの試み―図工の先生のネットワーク作り]

2020年までは、小金井市内の小学校の図工の先生と連携し、アーティストを招いたりしながら図工の授業を実施してきました。2021年度からは小学校の収蔵庫に素材を置いて、先生方が自由に倉庫にアクセスして使える仕組みを作る活動、多摩地区図画工作研究会との連携、各市の市教研や小教研での先生方とのワークショップ、その経験を通し子供たちとの授業実施を続けています。

その背景には、図工の授業で用いる素材の調達方法が、先生個人の状況に委ねられているという現状があことを知ったことがきっかけでした。例えば竹という素材ひとつ取っても、竹林の所有者と繋がっているか、いないかで、先生方の素材調達の方法に激しい違いがあるという現実がありました。

その違いが生み出す結果として、先生によって図画教育が変わってしまうという危機感があります。先生のネットワーク網の広さだけでなく、各々の視点、温度感、キャラクターで地域とのつながり方が異なり、結果的に、子どもの能力の成長が異なるという課題を、子どもの人生の転機を左右するほど重要だと捉え、先生方を主体に置いた仕組みづくりに着手したそうです。

昨今の教育現場の関係者は、地域との関係性を意識し始めているという流れもあることから、先生方に地域との入口の作り方を見出してもらうための方法の模索を始めました。例えば、資材提供をしてくださる地域の方々の情報を共有するためのマップを先生方に作ってもらい、仕組みづくりに関わってもらうことから始めているそうです。

今回は、地域の図工の先生の連携を高めるプロジェクトについて教えていただきましたが、アートフル・アクションでは「多摩の未来の地勢図をともに描く」(https://cleavingartmeeting.com/about/)という地域プロジェクトも、アーツカウンシル東京との共催で実施しています。

[ACFの活動紹介]

そこでACFからは、さまざまな企業にアプローチしながら素材をアートに活かす仕組みづくりに着手している「ラッコルタ -創造素材ラボ-」の活動についても紹介しました。

ACFの担当者からは、ウェブサイトや冊子で活動内容や実績をわかりやすく伝える工夫をしたことや、まだまだ地域に貢献したいと考える企業は市内にあるのではないかとの手応えについて、そして市内の地域団体との連携の可能性についても説明しました。

企業が提供する素材によって人が繋がり、循環していく仕組みを作りたい—その理想を形づくるための工夫を共有することができました。

[長く続ける秘訣とは?]

ACFからアートフル・アクションへ、長く続ける秘訣を質問しました。

小金井市、東京都、美術館と協働しながら多様なプロジェクトを実施するかたわら、ギャラリー、カフェ、レンタルスペース経営(小金井シャトーhttps://artfullaction.net/koganei-art-spot/)も続けています。そのためにスタッフの人件費を捻出するために奔走していることも語っていただきました。

何よりも、地域の人々とのつながりを優先した温かみこそが、アートフル・アクションが長く続いている秘訣だと思います。

地域におけるアートの可能性を探求している活動は、形は違えど「地域とアートを結びたい」というACFと似た方向を向いています。アートフル・アクションに大きな敬意を払いつつ、今後も学び取っていきたいと実感した交流会でした。

NPO法人 アートフル・アクション(AFA)公式ホームページ
https://artfullaction.net

本プロジェクトは「東京アートポイント計画」の一環として実施しています。